常用すると薬物依存になる!?

慢性頭痛のために、鎮痛剤や予防薬を服用している人の中には、薬の副作用による頭痛を発生させていることがあります。長期にわたって薬を服用していると、毎日のように頭痛や嘔吐に悩まされるようになってしまいます。何度も服用すると薬の効いている時間が短くなりますから、薬が手放せない状態になります。これを「薬物乱用頭痛」といいますが、今、このような人たちが増えています。

では、なぜ薬を飲み続けると薬物乱用頭痛になるのかといいますと、じつはまだそのメカニズムは解明されていません。しかし、いろいろな説がある中でも有力なのは、1つの成分を使い続けているとレセプターが反応しなくなるという説です。

同じ薬を長期間飲み続けていると、ある日突然、痛みを止める薬の成分をレセプターが邪魔者と認識するようになってしまいます。そして、レセプターは血液中の痛み物質であるヒスタミンを捕まえるために、体を勝手に変化させます。この変化によって、これまで効いていた薬の成分は効力を発揮しなくなります。こうしてそれまで飲んでいた薬が効かなくなりますから、担当医から薬を替えるようにすすめられます。これが悪循環となり、自分でも気づかない間にどんどん強い薬に移行してしまうのです。

薬は処方の半分でも十分効く

薬物乱用頭痛を防ぐためには、薬を飲む人は常用にならないように、もっと意識して自分自身で管理すべきだと思います。

私は、人によっては、薬の服用量を減量しても効果はあると考えています。なぜなら、人には体格差がありますし、薬の効果が出やすい人もいるからです。実際に、処方薬をもらっている患者さんの中には「薬が効き過ぎて怖い」と訴える人もいます。

しかし、薬物乱用頭痛の人の場合、急に薬の服用を中止すると、離脱症状といって激しい頭痛が生じることがあります。そのため当院では、薬を処方している医師に服用量を半分に減らしてもらうように相談することを、患者さんに提案しています。

問題がなければ、さらに服用量を4分の1に減らしてもらうように再度アドバイスします。それで痛みが生じなかった場合、「痛みが出てから飲んでも間に合いますよ」と患者さんに伝えると、薬なしでも過ごせるようになります。

即効性がある薬は、最低限で使うべき

薬に頼り過ぎないことは重要ですが、そうはいっても、頭が割れるような激しい頭痛が起こっているときは、我慢や気合と根性だけで乗り越えられるものではありません。

通常の頭痛とは明らかに痛みの度合いが違う場合や、痛みがどんどん強くなる場合は、二次性頭痛(25ページ)のおそれがありますから、救急車を呼ぶなどの対処をしましょう。病院で脳腫瘍や脳出血、くも膜下出血などの疾患があるために起こる二次性頭痛かどうかを確認してもらうことが大事です。

その疑いがない場合は、安静にして薬を飲んでつらい痛みを抑えることです。

薬には即効性がありますから、必要なときは最低限で使うべきと考えています。ところが、今の医療機関の多くは、長期にわたり大量の薬を処方していることがあり、そのため、薬漬けになってしまっている患者さんも少なくありません。これは薬物乱用頭痛にもつながります。

私は頭痛薬そのものを否定しているわけではありませんし、薬による対症療法が悪いといっているわけでもありません。つらい痛みから解放されなければ、夜眠れなくなりますから、翌日の仕事や勉強に支障が生じてしまうかもしれません。ですから、対症療法で痛みを緩和することは必要です。

しかし、本来、頭痛治療薬というのであれば、痛みを抑える鎮痛剤ではなくて、頭痛が完治する薬であるべきだとも思っています。

考え方をさらに一歩進めて、人生のパフォーマンスを低下させないためには、頭痛そのものが起こらないような体づくりをすることが最も大切なはずです。しかし、今の頭痛治療にはこの部分が抜け落ちています。

脳にトラブルが生じたせいで起こる二次性頭痛は除いて、頭痛治療の最終的な目標は「薬なしで生活できること」なのです。