筋肉の緊張が頭痛を引き起こしている

私は、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、そしてそれらを併せもつ混合型頭痛が起こる大きな原因の一つは、首、肩、背中、頭、顔面などの筋肉が異常に緊張することにあると考えています。

前に述べたように、これらの頭痛持ちの人には筋肉の異常な緊張が見られ、その緊張をほぐすことで頭痛が改善するという成果を得ているからです。

また、ほとんどの人は、頭痛以外にも、肩こりや首こり、顎が疲れる、首の前面がつらい、背中や肩が痛いなど、筋肉の緊張からくる自覚症状をもっています。

そこで本書では、今までの頭痛の本とは異なって、二次性頭痛を除いた、すべての一次性頭痛(緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、混合型頭痛など)を筋緊張性頭痛ととらえ、単に頭痛と表記して説明することにします。

なぜ筋肉が緊張すると頭痛が起こるのかは、残念ながらまだ解明されていません。

しかし、私は、患者さんを施術してきた実体験から、筋肉の緊張が頭痛の原因であると確信しています。

1つの症例で説明しましょう。小学4年生の女の子の例です。4歳からバイオリンを習っていて毎日1時間ほど練習しているそうですが、3年ほど前から週に2回くらい出現していた頭痛が、最近になって増えてしまい、一日中痛みが引かずバイオリンの練習も休みがちになってしまいました。左の側頭部を叩かれるような痛みや目の奥に締めつけられる感じがあり、授業中に発生すると保健室で寝ているそうです。周囲の友だちや父親からは仮病と疑われてしまい、学校も休みがちだといいます。

話を聞いていた私は、バイオリンを弾く姿勢に問題があると直感しました。首を左に傾け、両肩を広げて弾く姿勢によって、左首と肩まわりの筋肉が緊張した状態になり、頭痛が発生したと考えたのです。1週間に1回、僧帽筋や胸鎖乳突筋、脊柱起立筋群をゆるめる施術をしたところ、徐々に発生頻度が少なくなり、痛みも弱くなり、3週目には発生しなくなりました。

なぜ筋肉が収縮すると痛みが出るのか

このように私は、頭痛は筋肉の痛みによるものととらえていますが、痛みの原因は筋肉がのびる、切れる、縮むことにあります。私たちの体は関節をのばし過ぎると捻挫しますし、筋肉が切れると肉離れになります。足がつるという人がいますが、これは筋肉が縮んだために起こった現象です。このように筋肉が縮んだときに出る痛みは収縮痛と呼ばれ、とても痛いものです。

じつは収縮痛のメカニズムはまだ解明されていません。現代医学の中でも、筋肉の分野はまだまだ未解明のことが多いのです。そのため収縮痛も数多の説があります。

なかでも、筋肉の細胞に注目したフィラメント説が有力です。私たちの体は、筋肉細胞がスライドすることによって、筋肉がのびたり縮んだりを繰り返し、動くことができます。しかし、このスライドがうまくできず縮こまったままになってしまうと筋肉は不自然な状態になっていますから、痛みが発生するというものです。

また、筋肉はゴム紐のような状態でのびたり縮んだりしていると想像している人が多いと思いますが、じつはスポンジのような状態で収縮します。筋肉が収縮することによって、そのスポンジの中にある細かい神経が圧迫されて痛みを感じるのではないかという説もあります。

筋収縮を起こしやすいのは、慢性的な睡眠不足の人、薬を常用している人、アルコールの飲み過ぎなどで肝機能が弱っている人、運動のし過ぎと運動不足の人、水分摂取量の少ない人、ミネラル分の補給が少ない人に多いともいわれています。

頭痛は首、肩、背中などの筋肉の放散痛

前述の症例にもあるように、頭痛の原因となる筋肉は、実際に頭痛で痛みが出ている場所とは異なる部位にある筋肉と考えられます。たとえば、顎や首、肩などの筋肉が緊張すると、こめかみの周辺に頭痛が発生します。

このように、ある筋肉の緊張が別の部位に痛みを引き起こす現象を放散痛と呼びます。

頭痛を誘発する筋肉については第2章で詳しく述べますが、肩から背中を覆う僧帽筋や首から腰までのびる脊柱起立筋群など、頭痛とは関連のないように思える筋肉が、放散痛としての頭痛を引き起こしていることもあります。