頭痛には体からのメッセージが隠されている

じつは、私たち人間の体は突き詰めて観察していくとまだまだわからないことが多いのです。前に述べましたが、痛みのメカニズムは調べれば調べるほどわからなくなります。

しかし、私は痛みが出るということは、「そこに何かありますよ」というお知らせであり、体からのメッセージだと思っています。

頭痛の場合は、二次性頭痛と呼ばれる脳腫瘍や脳出血、くも膜下出血などの疾患が隠れていることがあります。そのほかにも休息不足や寝不足、眼精疲労、過度の精神的ストレスの蓄積、運動不足、姿勢の乱れ、栄養バランスの悪化や水分不足、冷えなど、目には見えない危険信号を体がきちんととらえて、私たちに教えようとしてくれているのです。

だから、このメッセージを無視したり、薬などの対症療法で抑え込もうとすることは、本来の危険信号を見逃すことになり、大きな病に進行させてしまう危険性もあります。「頭痛くらい」と甘く見てはいけません。頭痛は大切なメッセージを送ってくれているのです。痛みをきちんと感じ取って原因を突き止めることが、健康な体を維持するための秘訣だと考えています。

頭痛コップの水かさを低くしておく

あなたは「コップ理論」という言葉を聞いたことはありませんか。これは心理学の理論の一つといわれていますが、頭痛治療にも応用できる重要な考え方だと私は思っています。ストレスを水にたとえて、自分の中であふれさせないようにしようという考え方で、ストレスの上手な逃がし方ともいえるものです。透明なコップに少しずつストレスという名の水が入っていく様子を想像してください。

健康な状態のときはコップの水が少ないですから、問題はありません。ところがストレスが重なると、それに比例するようにコップの水は増えていきます。そして、ストレスが極限に達するとコップの水かさもなみなみといっぱいになってしまいます。それでもがんばり続けていると、ちょっとしたストレスが引き金になってコップの水はあふれ出てしまい、頭痛が発生するのです。

ストレスには心因性と外因性の2つがあります。心配事や不安感などといった心因性のストレスは、体の自律神経系の機能が低下することによって頭痛が発生します。

一方、外因性ストレスは、筋肉の疲労による筋収縮、パソコンなどによる眼精疲労といった生活習慣が原因となって頭痛が起こります。

本当の意味で病気を根本から治す(根治)ためには、両方のストレスの原因を根本から解消しなくてはなりません。

私たちが日常生活を送るうえで、これは無理な相談です。たとえば、子育てのストレスを抱えているお母さんが、育児をやめられるかといったら、それはできませんから。

しかし、ストレスによる水かさは、頭痛誘発筋を弛緩させることで簡単に下がります。そのためには第3章で紹介する頭痛マッサージ法や頭痛ストレッチ法が有効です。これにより頭痛を発生させているメカニズムの流れを断ち切ることになりますから、頭痛は治ります。

さらに、ストレスにさらされても、頭痛が出ない体になることが大事なのです。

たとえば、仕事でパソコンを長時間使っていて眼精疲労があり、それが原因で頭痛が発生するとわかっていても、仕事は簡単にはやめられません。そこで、仕事の内容を変えられないのであれば、コップそのものを大きくすればいいのです。コップが大きくなれば、頭痛の原因とされるさまざまなストレスに見舞われても水があふれることはないので、頭痛は起こりません。頭痛を誘発する筋群をゆるめたり、鍛えたりすることが重要なのです。そのための予防策として第3章の頭痛予防筋トレ法が有効ですし、生活習慣を見直す必要もあります。

ショルダーバッグのかけ方で頭痛は楽になる

私たちの体は重たい荷物をもったとき、持ち手と反対側に重心がかかります。たとえば、重たいショルダーバッグを右肩にかける人は、左に重心がかかりますから、無意識のうちに頭をまっすぐにしようとして、左肩が下がってしまいます。そのため、左側面の筋肉に障害が出やすいのです。

重たい荷物やショルダーバッグは、いつも同じ側でもつのはやめましょう。左右にバランスよく分散してあげることが大事なのです。重たい荷物をもつときは、両肩に同じように重みのかかるリュックサックを使うのがおすすめです。

ショルダーバッグを使うときは、ベルトは肩の端から約3㎝のところ、鎖骨の外側3分の1を通過するようにかけるのがコツです。鎖骨と肩甲骨の出っ張りがありますので、慣れると違和感もありません。

また、ショルダーバッグを斜めがけにする人は多いようですが、この場合もベルトは、背中から肩にかけて広がる僧帽筋の上は避けて、かけてください。僧帽筋はとても大きな筋肉ですから、ベルトがずっと当たっていて疎血(血液が行かなくなる)状態が続くと、苦しく感じますし、肩こりがひどくなります。また、先述したとおり、僧帽筋を圧迫することは、頭痛の原因にもなるのです。